【2025年版】関西(大阪・神戸・京都)の中小企業が知るべき最新の採用市場動向と打つべき一手

「最近、思うように人が採れない…」
「求人広告費ばかりかさんで、効果が見えない」
神戸で14年間、中小企業のWEBマーケティング支援を行う経営者として、このようなご相談をいただく機会が本当に増えました。株式会社SELF ACHIEVE代表の新原です。

実は、この採用の悩み、私たちが日々行っている「顧客獲得」のノウハウを応用することで、大きく改善できる可能性があります。
本記事では、2025年の関西(大阪・神戸・京都)の最新採用市場動向を踏まえつつ、WEBマーケティングのプロ、そして同じ中小企業経営者としての視点から、明日から実践できる具体的な「採用の次の一手」を解説します。
【この記事のポイント】関西の中小企業が採用を成功させる3つの鉄則
- 鉄則1:採用市場の「3つの変化」を理解する
関西の採用市場は「売り手市場の激化」「採用活動の早期化」「求職者の価値観の多様化」という3つの変化の渦中にあります。「求人を出して待つ」だけの採用は通用しません。- 鉄則2:採用を「マーケティング活動」と捉え直す
採用の苦戦は知名度や待遇だけが原因ではありません。自社の魅力を求職者に「正しく伝えられていない」ことが根本原因です。求める人物像を明確にし、その人に響くメッセージを発信しましょう。- 鉄則3:WEBマーケティング手法を「5つのステップ」で実践する
明日からできる具体的な打ち手は「①採用USPの発見」「②採用サイトの基地化」「③SNSでの潜在層への発信」「④求人検索エンジンの最適化」「⑤データに基づく改善」の5つです。
本文では、これらのポイントをWEBマーケティングの専門家視点でさらに詳しく解説します。
目次
【2025年最新】関西の採用市場で起きている3つの変化
まず、私たちが事業を行う関西の採用市場で、今まさに何が起きているのかを共有させてください。感覚論ではなく、客観的な事実として知っておくことが、次の一手を考える上で非常に重要になります。
1. 売り手市場の継続と人材獲得競争の激化
「人手不足」という言葉は聞き飽きたかもしれませんが、その状況は年々深刻さを増しています。実際に、帝国データバンクの調査(2025年1月)では、正社員が「不足」していると感じる企業は53.4%と、コロナ禍以降で最も高い水準です。
これは大手企業も含めた数字ですから、知名度や待遇面で不利になりがちな中小企業にとっては、さらに厳しい状況と言えるでしょう。弊社の経験でも、この14年間で今が一番、クライアント様から採用に関するご相談をいただくことが多い、というのが肌感覚です。
もはや、単に求人を出して待っているだけでは、人材獲得競争に勝つことは難しい時代です。
2. 採用活動の早期化と通年化
新卒採用市場では、採用活動の早期化がますます進んでいます。これは中途採用市場にも影響を及ぼしており、優秀な人材ほど早い段階で転職先を決めてしまう傾向にあります。

中小企業が「良い人がいたら採用しよう」という「待ち」の姿勢では、大手企業や採用に積極的な競合に先を越されてしまうのが現実です。
これは顧客獲得と全く同じではないでしょうか?見込み客へのアプローチが遅れれば、競合に取られてしまう。採用も同じで、常に情報発信を続け、自社に興味を持ってくれる可能性のある「未来の仲間」と接点を持ち続けることが重要になっています。
3. 求職者の価値観の多様化と「情報発信力」の重要性
「給与が高ければ良い」「会社が安定していれば良い」という時代は終わりつつあります。もちろん待遇は重要ですが、それ以上に「働きがい」「企業の理念への共感」「柔軟な働き方」といった点を重視する求職者が増えています。
ここで問題になるのが、多くの中小企業で「企業の本当の魅力が、求職者に正しく伝わっていない」という事実です。素晴らしい技術、温かい社風、成長できる環境があるにも関わらず、それを発信できていない。だから、求職者の選択肢にすら上がらない。
今、採用市場で求められているのは、自社の魅力を言語化し、求職者に届ける「情報発信力」なのです。これこそ、WEBマーケティングのノウハウが最も活きる領域です。
なぜ関西の中小企業は採用で苦戦するのか?経営者が見落とす根本原因
「うちみたいな中小企業が採用で勝つのは難しい」と思ったことはありますか?しかし、本当にそうでしょうか。14年間、多くの関西の中小企業様を見てきた私からすると、原因は別のところにあるケースがほとんどです。
知名度や待遇だけではない「伝え方」の問題
採用で苦戦する理由として「知名度不足」や「大手との待遇差」を挙げる経営者は少なくありません。しかし、それが全てではありません。
弊社の経験では、素晴らしい技術や文化、働きがいがあるのに、それを言語化・視覚化して発信できていない企業様がほとんどです。
「うちには誇れるものなんて何もない」とおっしゃる社長に限って、お話を伺うと、社員を大切にする独自の制度や、地域で圧倒的なシェアを誇る技術があったりするのです。問題は「何もない」ことではなく、「伝え方」を知らないことなのです。
採用活動を「点」でしか捉えていない
「人が足りないから、求人サイトに掲載する」
「急な欠員が出たから、人材紹介会社に依頼する」
このように、採用活動を単発の「点」で捉えていませんでしょうか?これは、たまにチラシを一度撒くだけで、お客様が継続的に来てくれるのを待っているのと同じです。
WEBマーケティングでは、お客様に自社を知ってもらい(認知)、興味を持ってもらい(興味関心)、比較検討してもらい(比較検討)、購入してもらう(購買)という一連の流れ(ファネル)を設計します。
採用も同じで、求職者に自社を知ってもらい、興味を持ってもらい、応募してもらうまでの一貫した戦略的な活動、つまり「線」や「面」で捉える必要があるのです。
経営者が採用に「他人事」になっている
「採用は人事担当者の仕事だ」
もし、そう思っているとしたら、それが一番のボトルネックかもしれません。

私自身の経営経験から断言できるのは、会社の未来を創る採用こそ、経営者が最もコミットすべき仕事だということです。
自社のビジョンを、仕事のやりがいを、未来の可能性を、誰よりも熱く語れるのは経営者自身のはずです。その熱意が伝わって初めて、求職者の心は動きます。
採用を他人事にせず、自らの言葉で語ること。これが、多くの中小企業で見落とされている根本原因だと私は考えています。
顧客獲得のプロが提言!採用を「マーケティング活動」に変える思考法
では、具体的にどうすれば良いのでしょうか。答えは、採用活動を「自社のファン(未来の社員)を作るマーケティング活動」と捉え直すことです。
ターゲットは「求職者」という名の「未来のお客様」
マーケティングの第一歩は、ターゲットを明確にすることです。採用も同じで、「どんな人に来てほしいのか」という求める人物像(ペルソナ)を具体的に設定しましょう。
項目 | 設定例 |
---|---|
年齢・性別 | 20代後半・男性 |
経験・スキル | 製造業での現場経験3年以上、リーダー経験あり |
価値観 | 新しい技術の習得に意欲的、チームワークを重視 |
悩み・課題 | 今の職場では裁量権が少なく、成長を感じられない |
このようにペルソナを具体化することで、「誰に」「何を」伝えれば響くのかが明確になります。これは、お客様のペルソナを設定するプロセスと全く同じです。
「求人票」は「ランディングページ(LP)」である
求人票を、単なる募集要項の羅列だと思っていませんか?それは非常にもったいないことです。求人票は、求職者の心を動かし、「応募する」という行動を促すためのセールスページ(LP)」として捉え直しましょう。
- キャッチコピー: ターゲットに響く言葉で仕事の魅力を伝える
- 仕事内容: 具体的な業務内容だけでなく、その仕事のやりがいや社会への貢献度を伝える
- 求める人物像: スキルだけでなく、どんな価値観の人と一緒に働きたいかを伝える
- 写真・動画: 職場の雰囲気や働く社員の笑顔を見せる
弊社では、クライアント様の採用支援において、求人票のクリック率や応募率を分析し、キャッチコピーや内容を改善し続けるABテストを行うこともあります。まさにWEBマーケティングの手法そのものです。
「選考プロセス」は最高の「顧客体験(CX)」の場
応募から面接、内定、入社までの一連の流れは、求職者に自社の魅力を深く理解してもらうための最高の「顧客体験(Candidate Experience = CX)」の場です。
- 迅速で丁寧な連絡: 応募者へのレスポンスの速さは、誠実さの表れです。
- 対話形式の面接: 候補者を一方的に評価するのではなく、相互理解の場と位置づける。
- 現場社員との交流: 実際に働く社員と話す機会を設ける。
弊社のクライアント様の支援経験から、「面接官の人柄に惹かれて、ファンになり入社を決めた」という事例は決して少なくありません。選考プロセス全体で、自社のファンを一人でも多く作っていきましょう。
【明日からできる】WEBマーケティングを活用した採用戦略5ステップ
ここからは、WEBマーケティングの考え方を応用した、明日からでも始められる具体的な採用戦略を5つのステップでご紹介します。
ステップ1:自社の「採用USP」を見つける
USP(Unique Selling Proposition)とは、マーケティング用語で「自社独自の強み」を意味します。これを採用に応用し、他社にはない、自社ならではの働く魅力=「採用USP」を明確にしましょう。
給与や休日といった条件面だけでなく、以下のような点も立派なUSPになります。
- 事業・技術: 「関西でこの技術を持っているのはうちだけ」
- 社風・文化: 「社長と社員の距離が近く、風通しが良い」
- 成長環境: 「若手でも大きな裁量権を持って挑戦できる」
- 働き方: 「残業がほとんどなく、プライベートを大切にできる」
まずは紙とペンを用意して、社員の皆さんと一緒に自社の魅力を書き出してみましょう。
ステップ2:「採用サイト」を情報発信の基地にする
自社の採用サイトを、単なる会社概要を載せただけのページにしていませんか?採用サイトは、採用USPを発信し続ける「情報発信の基地」です。
以下のコンテンツを充実させ、働く魅力を伝えましょう。
- 社員インタビュー
- 1日の仕事の流れ
- プロジェクトストーリー
- 経営者の想いを伝えるブログ
さらに、SEO(検索エンジン最適化)を意識し、「神戸市 製造業 求人」や「大阪 営業 未経験」といった、求職者が検索するであろうキーワードをサイト内に盛り込むことで、広告費をかけずに応募者を集めることも可能になります。
ステップ3:SNSを活用して「潜在層」にアプローチする
今すぐの転職は考えていないけれど、「良い会社があれば」と思っている「潜在層」にアプローチするには、SNSが非常に有効です。
FacebookやInstagram、X(旧Twitter)などを活用し、日常の会社の様子を発信しましょう。
- 職場の雰囲気
- 社員同士の交流(ランチやイベントなど)
- 仕事のこだわりや裏側

実際に弊社の神戸のクライアント様(製造業)では、現場の職人がInstagramで日々の仕事の様子を発信し続けた結果、それを見て「ここで働きたい」と興味を持った若手からの応募に繋がった事例があります。
飾らない「生の情報」こそが、求職者の心に響くのです。
ステップ4:求人検索エンジン(Indeed等)を最適化する
Indeedに代表される求人検索エンジンは、無料で求人情報を掲載できる強力なツールです。これを最大限活用しない手はありません。
ここでもSEOの考え方が重要になります。
- 職種名: 「営業」だけでなく「法人向けルート営業(既存顧客中心)」のように具体的に書く。
- 仕事内容: 求職者が使いそうなキーワード(例:「ノルマなし」「土日祝休み」「未経験歓迎」など)を意識的に盛り込む。
- 勤務地: 「関西」だけでなく「大阪市中央区」「神戸市灘区」のように具体的に記載する。
少しの工夫で、求人情報の表示回数やクリック率は大きく変わります。
ステップ5:データを見て改善を繰り返す(PDCA)
採用活動をやりっぱなしにせず、必ず効果測定を行い、改善を繰り返しましょう。
- 応募数: どの求人媒体からの応募が多いか?
- 採用単価: 一人採用するのに、いくらコストがかかったか?
- 選考通過率: どの段階での離脱が多いか?
WEBマーケティングの基本は、データに基づいた改善(PDCAサイクル)です。勘や経験だけに頼った採用活動から脱却し、データという客観的な事実に基づいて戦略を練り直しましょう。
大阪・神戸・京都|エリア別に見る採用戦略のポイント
最後に関西の主要都市である大阪・神戸・京都、それぞれの地域特性に合わせたアピール方法のヒントをお伝えします。
【大阪】商売人の街で響く「成長機会」と「実利」
多くの企業が集まる大阪では、人材獲得競争が特に激しいエリアです。大阪シティ総合研究所の2024年調査では、府内中小企業の33.2%が「人手が不足」と回答しています。この商売人の街では、実用性や自身の成長に繋がることを重視する人材が多い傾向にあります。
「若手でも大きな裁量権を持って挑戦できる」「成果がインセンティブとして給与にしっかり反映される」といった、成長機会と実利を具体的にアピールすることが有効です。
【神戸】独自の文化を持つ街で響く「ワークライフバランス」と「地域貢献」
港町として独自の文化が根付く神戸では、ライフスタイルを重視する方が多い印象です。神戸市自体も経験者採用を拡大する方針を示すなど、多様な働き方への理解が進んでいます。
「転勤がなく、神戸の街に腰を据えて働ける」「地域の〇〇に貢献できる仕事です」といった、ワークライフバランスや地域貢献をアピールすることが、特に響きやすいでしょう。弊社も神戸にありますが、この点を魅力に感じてくれる方は実際に多いです。
【京都】学生と伝統の街で響く「専門性」と「革新性」
多くの大学が集まる学生の街である一方、伝統産業も根強いのが京都の特徴です。優秀な学生が多い一方で、卒業後に府外へ流出してしまうという課題も抱えています。
「ここでしか学べない専門技術が身につく」「伝統的な技術に新しいITを掛け合わせる」といった、専門性と革新性をアピールすることが、知的好奇心の高い優秀な人材を惹きつける鍵となります。
よくある質問(FAQ)
Q: 採用活動にお金をかけられません。無料でできることはありますか?
A: はい、あります。まずは本記事でご紹介したIndeedなどの無料求人検索エンジンの最適化と、SNSでの情報発信から始めましょう。特に、経営者ご自身の言葉で会社の想いやビジョンを発信することは、コストをかけずに企業の魅力を伝える最も強力な手段です。
14年の経験から、最も費用対効果が高いのは「知恵と手間をかけること」だと断言できます。
Q: WEBマーケティングの知識が全くないのですが、大丈夫でしょうか?
A: ご安心ください。難しく考える必要はありません。まずは自社の魅力は何かを社員の皆さんと一緒に考えることから始めてみてください。そして、それをブログ記事やSNSで発信する。最初は上手くできなくても大丈夫です。
お客様に自社の商品の良さを伝えるのと同じ感覚で取り組んでみてください。もちろん、弊社のような専門家の支援を活用するのも一つの有効な手段です。
Q: SNS採用は本当に効果があるのでしょうか?
A: はい、特に若手採用には非常に効果的です。ただし、単に求人情報を流すだけでは意味がありません。普段の会社の雰囲気や社員の人柄が伝わるような「生の情報」を発信することが重要です。
神戸のある製造業のクライアント様は、Instagramで職人の手仕事を紹介し続け、それを見た若者から「この技術を学びたい」と応募が来た事例もあります。
Q: 応募は来るのですが、良い人材からの応募がありません。
A: それは、求人票や採用サイトで発信しているメッセージが、本当に来てほしい人物像に響いていない可能性があります。もう一度ペルソナ(求める人物像)を明確にし、その人が「ここで働きたい!」と思うような魅力(例えば、具体的な仕事のやりがい、得られるスキル、将来のキャリアパスなど)を伝えるように、発信する情報の内容を見直してみましょう。
Q: 採用してもすぐに辞めてしまいます。どうすれば良いですか?
A: これは、採用段階でのミスマッチが原因であることが非常に多いです。応募者に良く思われようと、良い面ばかりを伝えていませんでしょうか?仕事のやりがいだけでなく、厳しさや大変な部分も正直に伝えることで、入社後の「こんなはずじゃなかった」というギャップを減らすことができます。
WEBマーケティングの視点では、短期的な売上(採用)だけでなく、長期的なファン(=長く活躍してくれる社員)を育てるという意識が重要です。
まとめ
2025年の関西の採用市場は、中小企業にとって厳しい状況が続くでしょう。しかし、見方を変えれば、これは大きなチャンスでもあります。
これまでと同じように求人広告を出すだけの「待ち」の採用から、WEBマーケティングの考え方を取り入れた「攻め」の採用へと転換する絶好の機会です。
14年間、中小企業の経営者としてWEBマーケティングに携わってきた経験から確信を持って言えるのは、会社の魅力を最も深く、最も熱く知っているのは経営者であるあなた自身だということです。
まずは、その魅力をご自身の言葉にして、発信することから始めてみませんか。
この記事が、関西で日々奮闘されている経営者の皆様の採用活動のヒントになれば、これほど嬉しいことはありません。
▼採用活動にWEBマーケティングの視点を取り入れてみませんか?
株式会社SELF ACHIEVEの「サイカツ.R」では、14年のWEBマーケティング実績を応用し、関西の中小企業に特化した採用戦略の立案から実行までを一気通貫でサポートします。
「何から手をつければ良いか分からない」「もっと効果的な採用活動がしたい」とお考えでしたら、まずは無料の採用力診断からお気軽にお問い合わせください。

株式会社SELF ACHIEVE 代表取締役CEO。2011年の創業以来14年間、神戸を拠点にWEBマーケティング会社を経営。中小企業の顧客獲得支援で培ったSNS集客ノウハウを採用分野に応用し、関西企業の採用課題解決を専門とする。「採用の仕組み化」「採用の資産化」をコンセプトに、持続可能な採用戦略の構築を支援している。