採用活動がうまくいかない時に見直すべき5つのチェックリスト

「募集をかけても人が集まらない」「ようやく来た応募が良い人材ではない」「内定を出しても辞退されてしまう」
関西で14年間、多くの中小企業経営者様を支援する中で、このような採用に関するお悩みは後を絶ちません。私自身も経営者として、採用の難しさは痛いほど理解しております。
実は、この問題の根源は「採用活動」を「マーケティング活動」として捉えられていない点にあるかもしれません。
こんにちは、神戸でWEBマーケティング会社、株式会社SELF ACHIEVEを経営しております新原秀崇です。
今回は、私自身が14年間の会社経営と顧客獲得支援で培ってきたWEBマーケティングの視点から、採用活動がうまくいかない時に見直すべき5つのチェックリストを具体的に解説します。
【この記事の結論】採用がうまくいかない5つの原因と解決策
採用活動が失敗する根本的な原因は、「採用をマーケティング活動として捉えられていない」点にあります。以下の5つのチェックリストを見直し、未来の仲間と出会うための一歩を踏み出しましょう。
- ターゲットが曖昧
→「誰でもいい」ではなく、活躍する社員を参考に「採用ペルソナ」を具体的に設定する。- 自社の魅力が不明確
→ 給与や条件だけでなく、「経営陣との距離の近さ」や「裁量権の大きさ」など、中小企業ならではの魅力を言語化する。- 採用手法がミスマッチ
→ ターゲットがいない媒体に求人を出しても無意味。SNSや社員紹介など、適切な採用チャネルを選ぶ。- 選考体験が悪い
→ 面接は「選ぶ場」でなく「選ばれる場」。応募者へのスピーディーな連絡や誠実な態度で候補者体験を向上させる。- 活動がやりっぱなし
→ 勘と経験だけに頼らない。「応募数」や「内定承諾率」などのデータを測定し、PDCAを回して改善する。
目次
チェックリスト1:採用ターゲットは明確ですか? – 採用マーケティングの出発点
なぜ「誰でもいい」では人が集まらないのか
「とにかく人手が足りないから、誰でもいいから来てほしい」。そう思ったことはありますでしょうか?お気持ちはよく分かりますが、実はこの考え方が、採用失敗の最大の原因になり得ます。
誰にでも当てはまるメッセージは、結局誰の心にも響きません。
弊社の顧客獲得支援でも、まず「どんなお客様に、自社のサービスの価値を届けたいか」を徹底的に言語化することから始めます。
採用も全く同じです。「誰に来てほしいのか」が曖昧なままでは、求人票の言葉も、面接でのアピールもすべてがぼやけてしまい、結果として求める人材には届かないのです。
採用ペルソナ作成の3つのステップ
では、どうすればターゲットを明確にできるのでしょうか。WEBマーケティングで言う「ペルソナ設定」を採用に応用しましょう。中小企業がすぐに実践できる、具体的な3つのステップをご紹介します。
【STEP1】現場で活躍している社員の特徴を洗い出す
今、あなたの会社で輝いている社員はどんな人ですか?スキルや経歴だけでなく、性格、仕事への価値観、入社の動機などをヒアリングし、共通点を探しましょう。それが、自社にマッチする人材のヒントになります。
【STEP2】事業の未来に必要なスキル・人物像を定義する
次に、会社の未来を考えます。3年後、5年後、会社が成長するためにどんなスキルや経験を持った人が必要でしょうか?
新規事業を始めるならその専門知識、組織を拡大するならマネジメント経験など、未来から逆算して必要な人物像を定義しましょう。
【STEP3】価値観やカルチャーフィットを言語化する
スキルや経験以上に、中小企業では「会社の文化に合うか」が重要です。弊社の経験では、スキルが高くてもカルチャーが合わずに早期離職に繋がるケースは少なくありません。
「弊社の〇〇という理念に共感してくれるか」「チームワークを大切にする社風に馴染めるか」といった価値観のマッチングを言語化することが、長く活躍してくれる仲間を見つける鍵となります。
関連記事: 欲しい人材だけを狙い撃ち!顧客獲得のプロが教える、採用におけるペルソナ設定の具体的な3ステップ
チェックリスト2:自社の「本当の魅力」を言語化し、発信できていますか?
大手にはない、中小企業ならではの魅力の見つけ方
採用ターゲットが明確になったら、次はその人に「うちの会社、魅力的でしょう?」とアピールする番です。しかし、給与や福利厚生といった条件面で大手企業と勝負するのは得策ではありません。
目を向けるべきは、大手にはない、中小企業ならではの魅力です。
関西の企業様は実直で素晴らしい技術をお持ちなのに、そのアピールが苦手なことが多い、と私は14年間感じてきました。自社では「当たり前」と思っていることが、求職者には大きな魅力に映るのです。
【中小企業の魅力 発掘リスト】
- 経営者との距離が近く、直接経営を学べる
- 事業成長に直接貢献している実感を得やすい
- 若いうちから裁量権の大きな仕事を任せてもらえる
- 部署間の垣根が低く、事業全体を見渡せる
- 地域社会に密着し、貢献できる
- 独自の高い技術力やノウハウがある
これらの魅力を、まずは社内で話し合って書き出してみましょう。
求職者に響く「魅力」を伝えるコンテンツSEOの考え方
見つけた魅力を、ただ求人票に羅列するだけでは不十分です。ここでWEBマーケティングの「コンテンツSEO」の考え方が活きてきます。
コンテンツSEOとは、ユーザー(求職者)が知りたい情報(コンテンツ)を提供し、検索エンジンからの評価を高める手法です。つまり、「求職者がどんなキーワードで仕事を探し、どんな情報に魅力を感じるか」を徹底的に考えるのです。
例えば、「風通しの良い職場です」と書くだけでなく、
「月1回の社長との1on1ミーティングで、新入社員でも直接事業提案ができる制度があります。実際に、入社半年の社員のアイデアから新サービスが生まれました」
のように、具体的なエピソードや社員の声を交えて語ることが重要です。
求職者はその「物語」を通じて、入社後の自分をリアルに想像し、心を動かされるのです。
チェックリスト3:求人媒体の選び方と使い方、最適ですか?
ターゲットに合わせた採用チャネルの選定方法
せっかく魅力的な求人情報を作っても、見てくれる人がいなければ意味がありません。設定した採用ペルソナ(ターゲット)は、普段どこで情報を集めているでしょうか?
採用チャネルは多岐にわたります。それぞれの特徴を理解し、ターゲットに合わせて使い分けることが重要です。
| 採用チャネル | 特徴 | こんなターゲットにおすすめ |
|---|---|---|
| ハローワーク | 無料で利用可能。地域密着型。 | 地元で働きたい層、事務職や現場職など |
| 求人広告サイト | 多くの求職者の目に触れる。 | 幅広い層にアプローチしたい場合 |
| ダイレクトリクルーティング | 企業から直接候補者にアプローチできる。 | 専門職や経験者など、ピンポイントで探したい場合 |
| リファラル採用(社員紹介) | コストを抑えられ、定着率が高い。 | 全ての企業におすすめ。特にカルチャーフィット重視の場合 |
| SNS採用 | 会社のリアルな雰囲気を伝えやすい。 | 20代〜30代の若手層、クリエイティブ職など |
例えば、弊社の専門分野であるSNS集客の視点から言えば、20代の若手エンジニアを採用したいなら、技術情報を発信するブログやSNSでの情報発信、技術系コミュニティへのアプローチが有効です。ターゲットのいる場所に、こちらから出向いていく姿勢が求められます。
関連記事: ハローワークと求人サイトだけで大丈夫?中小企業が見落としがちな採用チャネル5選と活用法
クリックされる求人票の書き方【SEO対策の応用】
どの媒体を使うにせよ、求人票の書き方は非常に重要です。求人票を「検索エンジンで上位表示させるべき一つのコンテンツ」と捉え、SEOのテクニックを応用しましょう。
ポイントは、求職者が検索しそうなキーワードをタイトルや本文に自然に盛り込むことです。
【Before】
営業職募集
【After】
【神戸市中央区/未経験歓迎】法人向けルート営業職|既存顧客中心|年間休日125日
いかがでしょうか。後者の方が、具体的な働き方をイメージでき、検索にも格段に引っかかりやすくなります。「職種名」「スキル」「勤務地」「待遇面の魅力」などを具体的に入れるだけで、見つけてもらいやすさが全く変わってくるのです。
関連記事: 応募が殺到する「求人票の書き方」のコツ|ターゲットに響くキャッチコピーと会社のアピール方法
チェックリスト4:候補者の心をつかむ選考プロセスになっていますか?
選考辞退・内定辞退を防ぐ「候補者体験(CX)」の視点
書類選考を通過し、ようやく面接までたどり着いたのに、なぜか辞退されてしまう…。その原因は、選考プロセスにあるかもしれません。
マーケティングに「顧客体験(CX = Customer Experience)」という言葉がありますが、これを採用に当てはめた「候補者体験(CX = Candidate Experience)」という視点が今、非常に重要になっています。
候補者は、応募から選考、内定に至るまでの全ての接点で「この会社は自分を大切にしてくれるか」を見ています。
- 応募後の連絡はスピーディーか?
- 面接官の態度は誠実か、横柄ではないか?
- 会社の未来や仕事のやりがいを熱く語ってくれたか?
- 不採用の場合でも、丁寧な連絡はあるか?
面接は、会社が候補者を選ぶ場であると同時に、候補者に自社を選んでもらうためのプレゼンテーションの場です。
私自身も経営者として面接に立つ際は、会社の未来やビジョンを本気で語り、「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえるよう全力を尽くしています。
中小企業の面接で見極めるべき点と、魅力付けのコツ
中小企業の面接では、スキルや経験はもちろんですが、それ以上に「カルチャーフィット」と「ポテンシャル」を見極めることが重要です。
【見極めるための質問例】
- 「過去の仕事で、最も困難だったことは何ですか?それをどう乗り越えましたか?」
→ ストレス耐性や問題解決能力、人柄がわかる。- 「私たちの会社のどんな点に共感してくれましたか?」
→ 企業理念への理解度や価値観がわかる。
同時に、面接は候補者の不安を解消し、入社意欲を高める「魅力付け」の場でもあります。
【魅力付けのコツ】
- 逆質問には丁寧に、本音で答える。
- 現場で働く若手社員との座談会の場を設ける。
- 良い点だけでなく、会社の課題や今後の展望も正直に話す。
誠実なコミュニケーションこそが、候補者の信頼を勝ち取る一番の近道です。面接官の印象が、そのまま企業の印象になることを忘れてはいけません。
チェックリスト5:採用活動の「データ」を測定・改善していますか?
なぜ採用にも「PDCA」が必要なのか
最後のチェックリストは、これまでの活動を「やりっぱなし」にしないための仕組みです。
WEBマーケティングの世界では、データに基づいて施策を改善する「PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)」が基本中の基本です。勘と経験だけに頼った採用は、もはや失敗します。
WEB広告と同じで、どの求人媒体から何人の応募があり、そのうち何人が面接に進み、最終的に何人が採用に至ったのか。こうしたデータを取らなければ、どこに問題があるのか分からず、改善のしようがありません。
中小企業でもできる、採用KPIの立て方と分析方法
「データ分析なんて難しそうだ」と思われるかもしれませんが、心配は無用です。まずは、中小企業が最低限追うべきシンプルなKPI(重要業績評価指標)から始めましょう。
【採用活動で見るべき基本KPI】
- 応募数:各求人媒体から何件の応募があったか
- 面接設定率:応募者のうち、何%が面接に進んだか
- 内定承諾率:内定を出した人のうち、何%が承諾してくれたか
- 採用単価:採用者1人あたりにかかったコスト
これらのデータをExcelなどで簡単に記録し、月に一度見直すだけでも、多くのことが分かります。
- 応募数が少ない → 求人票の魅力が伝わっていない?媒体が合っていない?
- 面接設定率が低い → 書類選考の基準が厳しすぎる?
- 内定承諾率が低い → 選考プロセスでの魅力付けが弱い?給与などの条件面?
このように、データに基づいて仮説を立て、次のアクションに繋げる。この地道な改善サイクルを回すことが、採用成功への最も確実な道筋です。
よくある質問(FAQ)
Q1: 採用にあまりコストをかけられないのですが、どうすれば良いですか?
A: まずはコストのかからないハローワークや、成功報酬型のエージェント、社員紹介(リファラル採用)から始めるのがおすすめです。
また、弊社の専門分野であるSNS(FacebookやInstagram)を活用して、日頃から会社の雰囲気や仕事のやりがいを発信することも、無料でできる有効な採用ブランディング活動です。
Q2: 良い人材はみんな大手企業に行ってしまうのではないでしょうか?
A: 確かに知名度では大手に敵いません。しかし、中小企業には「経営陣との距離の近さ」や「事業全体を見渡せる面白さ」など、大手にはない魅力が必ずあります。
その魅力を言語化し、ターゲットとなる求職者に的確に届ける「採用マーケティング」の視点を持てば、十分に勝機はあります。
Q3: 採用サイトは作った方が良いのでしょうか?
A: 必須ではありませんが、あると非常に有利です。求人媒体の情報だけでは伝えきれない、社員のインタビューや社風、独自の文化などを自由に表現できるからです。
最近では低コストで作成できるサービスも増えています。弊社のようなWEBマーケティング会社にご相談いただければ、集客できる採用サイトのご提案も可能です。
Q4: 面接で候補者の何を見れば良いのか分かりません。
A: スキルや経験はもちろん重要ですが、中小企業では特に「企業文化との相性(カルチャーフィット)」と「成長意欲(ポテンシャル)」が大切です。
過去の成功体験だけでなく、「困難をどう乗り越えたか」といった質問を通じて、その人の価値観や人柄を見るようにしましょう。
Q5: 関西の企業が採用で特に気をつけるべきことはありますか?
A: 関西、特に阪神間の企業様は、実用性やコスト意識が高い一方で、自社の魅力をアピールするのが少し控えめな傾向があると感じます。
14年間この地で経営してきた経験から言えるのは、もっと自社の技術力や地域への貢献、アットホームな社風などを自信を持って発信すべきだということです。それが求職者にとっての大きな魅力になります。
まとめ
採用活動がうまくいかない時、見直すべき5つのチェックリストをご紹介しました。
- 採用ターゲットは明確ですか?
- 自社の「本当の魅力」を言語化し、発信できていますか?
- 求人媒体の選び方と使い方、最適ですか?
- 候補者の心をつかむ選考プロセスになっていますか?
- 採用活動の「データ」を測定・改善していますか?
重要なのは、これら全てに共通する「採用をマーケティング活動として捉える」という視点です。誰に(ターゲット)、何を(魅力)、どのように伝え(媒体・選考)、結果をどう改善していくか(データ分析)。これはまさに、私たちが14年間行ってきたWEBマーケティングそのものです。
この記事で挙げたチェックリストの中から、まずは一つでも構いません。「採用ターゲットを改めて社員と話し合ってみる」ことから始めてみてはいかがでしょうか。その小さな一歩が、未来の素晴らしい仲間との出会いに繋がるはずです。
もし、より具体的な採用戦略の立案や、WEBを活用した魅力発信でお困りの際は、同じ中小企業経営者として、いつでもご相談に乗らせていただきます。
自社の採用課題について、一度プロの視点で壁打ちしてみませんか?
株式会社SELF ACHIEVEでは、WEBマーケティングのノウハウを活かした採用支援サービス「サイカツ.R」をご提供しています。お気軽にお問い合わせください。
監修者:新原秀崇
株式会社SELF ACHIEVE 代表取締役CEO。2011年の創業以来14年間、神戸を拠点にWEBマーケティング会社を経営。中小企業の顧客獲得支援で培ったSNS集客ノウハウを採用分野に応用し、関西企業の採用課題解決を専門とする。「採用の仕組み化」「採用の資産化」をコンセプトに、持続可能な採用戦略の構築を支援している。
