採用にSNSは本当に効く?中小企業向けInstagram・Facebook活用戦略

「求人広告費は高いのに、全然応募が来ない…」
「大手と同じ土俵で条件勝負をしても勝てない…」
関西で中小企業を経営されている中で、採用に関してこのような悩みを抱えていませんでしょうか?
こんにちは。株式会社SELF ACHIEVE代表の新原秀崇です。
私は神戸を拠点に14年間、WEBマーケティング会社を経営し、多くの中小企業様の「顧客獲得」をお手伝いしてきました。
実は、その「顧客獲得のノウハウ」は、そのまま「採用活動」に応用できます。
「SNSで採用なんて、キラキラした会社しか無理でしょ?」と思われるかもしれません。しかし、予算も知名度もない中小企業こそ、SNSという武器を使うべきなのです。
本記事では、14年間のWEBマーケティングの経験と、私自身も中小企業経営者である視点から、「なぜ中小企業にSNS採用が必要なのか」そして「InstagramとFacebookをどう使い分けるべきか」について、関西企業の事例も交えながら実践的な戦略を解説します。
【この記事の結論】中小企業のSNS採用戦略
- SNSは「資産」になる:
投稿は蓄積され、広告費をかけずに採用コスト削減とミスマッチ防止を実現します。- ツールの使い分け:
新卒・若手採用なら「Instagram(ビジュアル重視)」、即戦力・キャリア採用なら「Facebook(信頼性重視)」を選んでください。- 成功の鉄則:
最初はどちらか1つに絞り、「週2回」の投稿を継続すること。経営者の顔出しが最強のコンテンツです。- 最初のアクション:
プロフィール欄を「採用サイト」代わりに作り込み、DM(ダイレクトメッセージ)で応募できる導線を確保しましょう。
目次
なぜ今、中小企業こそSNS採用なのか?WEBマーケのプロが解説する3つの理由
多くの経営者様が「SNSは若者の遊び」と思われがちですが、マーケティングの視点で見ると、これほど中小企業に適した採用ツールはありません。その理由は大きく3つあります。
理由1:採用コストを劇的に削減できる「資産」になるから
一般的な求人サイトへの掲載は、掲載期間が終われば情報は消え、掛けた費用は「消費」されて終わります。応募が来なければ、また費用をかけて掲載し直さなければなりません。
一方、SNSは違います。
投稿したコンテンツはインターネット上に残り続け、フォロワーが増えれば増えるほど、無料で情報を届けられる範囲が広がります。つまり、SNSアカウントは育てれば育てるほど、会社の「資産」になるのです。
弊社のWEBマーケティング支援でも、最初は広告費をかけて集客していた企業が、SNSやブログという「資産」を持つことで、広告費をかけずに安定して顧客(=求職者)を集められるようになった事例が数多くあります。
理由2:「会社の本当の魅力」が伝わり、ミスマッチを防げるから
給与や休日数などの「条件面」だけで比較されると、どうしても大手企業には勝てません。しかし、中小企業には大手にはない「アットホームな社風」や「経営者との距離の近さ」、「職人の技術力」といった定性的な魅力(数値化できない良さ)があります。
- 社員同士が冗談を言い合っている休憩時間の様子
- 社長が社員の誕生日にケーキを渡している動画
- ベテラン職人が真剣な眼差しで作業する姿
こうした「リアルな日常」を動画や写真で伝えられるのがSNSの強みです。
「この雰囲気、なんかええな」と感じて応募してくる人は、最初から会社のカルチャーに共感しているため、入社後の定着率も圧倒的に高くなります。
理由3:転職潜在層にもアプローチできる「未来への種まき」だから
求人サイトを見ているのは、「今すぐ転職したい人」だけです。しかし、世の中には「いい会社があれば転職したい」と考えている潜在層がその何倍も存在します。
SNSは、そうした潜在層との接点を作ることができます。
日頃からSNSで発信を見ていて、「この会社、面白そうだな」とファンになってもらえれば、いざその人が転職を考えた時、真っ先にあなたの会社が候補に挙がります。
これはWEBマーケティングにおける「見込み客の育成(リードナーチャリング)」と同じ考え方です。「今すぐ」だけでなく「未来」の採用候補者をプールできることこそ、中小企業が長期的に安定した採用を行うための鍵となります。
【SNS選びで失敗しない】InstagramとFacebook、中小企業の採用における使い分け戦略
「じゃあ、どのSNSをやればいいの?」という疑問にお答えしましょう。
中小企業の採用においてメインとなるのは、InstagramとFacebookです。それぞれの特性を理解し、自社のターゲットに合わせて使い分けることが重要です。
| 特徴 | Instagram(インスタグラム) | Facebook(フェイスブック) |
|---|---|---|
| 主なユーザー層 | 20代〜30代(若手・女性が多い) | 30代〜50代(ビジネス層・決裁者) |
| 得意な表現 | 写真・動画(ビジュアル重視) | テキスト・記事シェア(信頼性重視) |
| 採用ターゲット | 新卒、第二新卒、若手社員 | 即戦力、管理職、専門職 |
| 伝わる魅力 | 社風、働く環境、社員の雰囲気 | 経営理念、事業の社会的意義、人脈 |
Instagram:社風や”人”の魅力を伝える「ビジュアル採用」の主役
若手、特に新卒や20代の採用を狙うならInstagram一択です。
今の若者はGoogle検索よりもInstagramのハッシュタグ検索(タグる)で企業のリアルな評判を調べます。
【活用イメージ】
ストーリーズやリール動画を使って、オフィスの日常や社員インタビューなど「働くイメージ」を視覚的に伝えます。
例えば、関西のある内装業のクライアント様は、職人が壁紙を貼る手元の動画や、現場での休憩中の笑顔を投稿し続けたことで、「カッコいい職人になりたい」という若手からの応募獲得に成功しました。
Facebook:信頼性と的確なターゲティングが武器の「キャリア採用」の要
30代以上のキャリア採用や、特定のスキルを持つ即戦力を探す場合はFacebookが有効です。実名登録制であるため情報の信頼性が高く、ビジネス目的で利用しているユーザーも多いためです。
【活用イメージ】
経営者自身の言葉で、会社のビジョンや業界への想いを熱く語る投稿が響きます。
また、神戸・阪神間のような地域コミュニティでは、経営者の個人的な繋がり(シェア)から、「知り合いの会社なら安心」という理由でリファラル(紹介)採用に繋がるケースも多々あります。
関連記事: 中小企業こそ導入すべき「リファラル採用」を成功させる3つのコツ
弊社の結論:まずはどちらか一つ、得意な方から深く始める
「両方やらなきゃ!」と意気込む経営者様も多いですが、リソースが限られる中小企業がいきなり両方を始めると、どっちつかずになりがちです。
「まずは社員の年齢層や伝えたい魅力に合わせて一つに絞り、継続することが成功の鍵です」
自走化を支援してきた経験から、まずは一点突破をおすすめします。
【明日からできる】採用担当者がいなくてもOK!中小企業のSNS採用・始め方5ステップ
「専任の採用担当者なんていないよ」という企業様でも大丈夫です。
ここでは、現場の負担を最小限に抑えつつ効果を出すための、具体的な5つのステップをご紹介します。
ステップ1:「誰に」「何を」伝えるか?採用の目的とターゲットを明確にする
WEBマーケティングの基本ですが、「誰に(ペルソナ)」向けて発信するかが最も重要です。
「元気な人なら誰でもいい」では、誰の心にも響きません。
- 「神戸市西区に住む、20代後半の営業経験者」
- 「子育てがひと段落して、事務スキルを活かしたい40代女性」
このように具体的に言語化しましょう。ターゲットが決まれば、発信すべき内容(「バリバリ稼げる環境」なのか「残業なしで家庭と両立できる環境」なのか)が自然と決まります。
ステップ2:飾らない「自社の魅力」を洗い出す(ネタ探しのコツ)
「ウチには発信するようなキラキラしたネタがない」
そう思っていませんか? 実は、求職者が見たいのは「キラキラ」ではなく「リアル」です。
- 毎朝の掃除の風景
- 社員が食べているランチの紹介
- 創業時の苦労話や、オフィスの昔の写真
これらは社内では「当たり前」でも、外の人から見れば立派なコンテンツです。一度、社員数名で「ウチの会社のええとこ、どこやろ?」とネタ出し会議をしてみてください。意外な魅力が見つかるはずです。
ステップ3:プロフィールを「採用サイト」の代わりに作り込む
SNSのプロフィール画面は、お店で言う「看板」であり「入り口」です。ここが整っていないと、投稿を見てもらっても離脱されてしまいます。
【プロフィールの必須項目】
- 何屋さんか(一目でわかる事業内容)
- 誰を求めているか(「未経験歓迎!」「○○のプロ求む」)
- アクションへの誘導(「採用情報はハイライトへ」「DMでお気軽に」)
- URL(自社サイトや採用ページへのリンク)
ここをしっかり作り込むだけで、プロフィールは簡易的な「採用サイト」として機能します。
ステップ4:「週2投稿」から始める。無理しない運用計画を立てる
「毎日投稿しないと意味がない」と思い込み、プレッシャーで挫折するケースが後を絶ちません。
中小企業のSNS運用は、「継続」が命です。
まずは「週2回、火曜日と金曜日に投稿する」といった無理のないルールを決めましょう。弊社のクライアント様でも、週2回の投稿を半年間コツコツ続けた結果、採用に繋がった事例があります。
ステップ5:応募への導線をしっかり設計する(DM解放と求人ページへのリンク)
興味を持ってくれた人が、迷わず次のアクションを起こせるようにしておきましょう。
- プロフィールに採用情報ページのリンク(または求人媒体のURL)を設置する
- 「DM(ダイレクトメッセージ)からの質問・応募もOKです!」と明記する
特に最近の求職者は、電話やメールよりもDMでのやり取りを好みます。応募のハードルを極限まで下げてあげることが重要です。
【14年の実績から語る】SNS採用のよくある失敗と成功の秘訣
多くの企業の支援をしてきた中で見えてきた、「失敗するパターン」と「成功するパターン」を共有します。
失敗例:「求人情報」ばかり投稿して、誰にも見向きもされない
「営業スタッフ募集中!」「月給○○万円!」
このような投稿ばかり並んでいるアカウントは、求職者から見れば「ただの広告」です。
SNSはあくまで「コミュニケーションの場」。売り込みばかりする人が嫌われるのと同じで、求人情報ばかりのアカウントはフォローされません。普段は会社の雰囲気を伝え、求人情報はたまに挟む程度がベストです。
失敗例:担当者任せで、いつの間にか更新が止まる
「若いからSNS詳しいやろ?」と新入社員に丸投げしていませんか?
協力体制がない中で担当させられた社員は、ネタ切れや業務過多で疲弊し、更新が止まってしまいます。
SNS採用は「全社プロジェクト」です。経営者が「協力するから頼むな」と声をかけ、ネタ出しに協力する体制が必要です。
成功の秘訣:経営者自身が「会社の顔」として登場する
中小企業最大の武器は、「経営者の顔が見えること」です。
大企業の社長は雲の上の存在ですが、中小企業の社長は身近なリーダーです。
私自身もSNSで発信していますが、経営者の「想い」「ビジョン」「苦労話」は、求職者の心を動かす最も強力なコンテンツです。「この社長の下で働きたい」と思ってもらえれば、条件面での競合は関係なくなります。
成功の秘訣:フォロワー数より「エンゲージメント」を重視する
フォロワーが1万人いても、誰も反応してくれなければ意味がありません。
逆にフォロワーが300人でも、毎回「いいね」やコメントをくれる濃いファンがいれば、そこから採用は生まれます。
数(フォロワー)を追うのではなく、質(エンゲージメント)を大切にしてください。コメントには丁寧に返信するなど、一人ひとりとの対話を大切にする姿勢が、結果的に良質な採用に繋がります。
よくある質問(FAQ)
Q: SNS採用にかかる費用はどれくらいですか?
A: 基本的にアカウント開設や投稿は無料です。
より早く多くの人に見てもらいたい場合に「SNS広告」を出すこともできますが、月数万円から調整可能です。求人広告に数十万円かけるよりも、ターゲットを絞って配信できるため費用対効果は高いケースが多いです。経営者としては、担当者の作業時間を「未来への投資」と捉える視点が重要になります。
Q: 投稿する写真や動画は、プロに頼まないとダメですか?
A: いいえ、全くその必要はありません。
むしろ、プロが撮った綺麗すぎる写真は「広告っぽい」と敬遠される傾向があります。スマートフォンのカメラで撮影した、加工しすぎていないリアルな写真の方が、親近感が湧き、会社の本当の雰囲気が伝わります。大切なのはクオリティより「らしさ」です。
Q: SNSでの発信は「炎上」が怖いです。注意点はありますか?
A: 炎上リスクはゼロではありませんが、過度に恐れる必要はありません。
重要なのは、政治や宗教、他者を批判するような内容は避け、投稿前に複数人で内容を確認するルールを作ることです。「誠実な発信」を心がけていれば、まず問題にはなりません。
Q: 効果が出るまで、どれくらいの期間がかかりますか?
A: すぐに効果が出るものではなく、最低でも3ヶ月~半年は継続して発信することが必要です。
WEBマーケティングと同じで、コツコツと信頼を積み重ねることで、ある時点から急に応募に繋がり始めます。短期的な成果を求めすぎず、じっくりと資産を作っていく意識が成功の鍵です。
Q: 関西の企業ですが、地域性を出した方が良いのでしょうか?
A: はい、ぜひ出すべきです。
特に地元での採用を強化したい場合、「#神戸で働きたい」「#大阪のIT企業」「#尼崎求人」のような地域名を入れたハッシュタグは非常に有効です。弊社の経験上、関西の求職者は地元企業への親近感を持ちやすい傾向がありますので、関西弁での投稿なども親しみやすさを生むポイントになります。
まとめ
今回は、中小企業がSNSを採用に活用する具体的な戦略について、14年間のWEBマーケティングの経験を基に解説しました。
大切なのは、SNSを単なる「無料の求人ツール」と捉えるのではなく、未来の仲間と長期的な関係を築くための「コミュニケーションの場」と考えることです。
完璧を目指す必要はありません。
まずはこの記事で紹介した5ステップを参考に、自社の”等身大の魅力”を発信することから始めてみてください。
「そうは言っても、何から投稿すればいいか分からない」
「自社の魅力をどう言語化すればいいか悩んでいる」
もしそのようにお考えでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
弊社では、顧客獲得で培ったノウハウを活かし、関西の中小企業様に特化した採用の仕組み化支援(サイカツ.R)も行っています。あなたの会社の「ええとこ」を一緒に見つけ、採用難を乗り越えるお手伝いをさせていただきます。
監修者:新原秀崇
株式会社SELF ACHIEVE 代表取締役CEO。2011年の創業以来14年間、神戸を拠点にWEBマーケティング会社を経営。中小企業の顧客獲得支援で培ったSNS集客ノウハウを採用分野に応用し、関西企業の採用課題解決を専門とする。「採用の仕組み化」「採用の資産化」をコンセプトに、持続可能な採用戦略の構築を支援している。
