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面接で候補者の本質を見抜く「戦略的質問」10選

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面接で候補者の本質を見抜く「戦略的質問」10選

「面接で良い人材だと思ったのに、入社後にミスマッチが…」

こんな経験、中小企業の経営者様なら一度はあるのではないでしょうか?限られた時間とリソースの中で、候補者の表面的なスキルだけでなく、その人の「本質」を見抜くことは、会社の未来を左右する重要な課題です。

こんにちは。株式会社SELF ACHIEVE代表の新原秀崇です。私は神戸で14年間、WEBマーケティング会社を経営し、多くの中小企業の顧客獲得を支援してきました。

実は、顧客の心をつかむWEBマーケティングの考え方は、採用面接にも応用できるんです。

今回は、私の14年間の経営経験と顧客獲得ノウハウから導き出した、候補者の本質を見抜くための「戦略的質問」を10個に厳選してご紹介します。

【結論】候補者の本質を見抜く3つの視点と戦略的質問

面接でのミスマッチを防ぐには、候補者の「本質」を客観的に見抜くための戦略的な質問が不可欠です。以下の3つの視点で質問を組み立てることで、入社後の活躍イメージを具体的に把握できます。

  • ① スキル・経験の「再現性」を見抜く
    • 質問例: 「過去の仕事で最も成果を上げた経験を、『課題』『役割』『行動』『結果』に分けて教えてください」
    • ポイント: 成功体験のプロセスを具体的に深掘りし、自社でも同様に活躍できるかを確認します。
  • ② 価値観・カルチャーフィットを確かめる
    • 質問例: 「仕事において、あなたが『これだけは譲れない』と大切にしている価値観は何ですか?」
    • ポイント: 候補者の仕事観と自社の企業理念や文化が一致しているかを確認し、長期的な活躍の可能性を探ります。
  • ③ ポテンシャル・成長意欲を測る
    • 質問例: 「この1年間で、ご自身の成長のために新しく学んだことや挑戦したことは何ですか?」
    • ポイント: 現状に満足せず、主体的に学び続ける姿勢があるかを確認し、将来性を見極めます。
目次

なぜ今、面接で「戦略的質問」が必要なのか?

そもそも、なぜありきたりな質問ではダメなのでしょうか?それは、多くの中小企業が抱える採用の課題に直結しています。

中小企業が陥りがちな「感覚採用」のワナ

中小企業、特に経営者自らが面接をする場合、「なんとなく良さそう」「話していて感じが良い」といった感覚で採用を決めてしまうことはありませんでしょうか?

もちろん、経営者の直感は鋭いものですが、それだけに頼ってしまうと危険も伴います。弊社のクライアントでも、過去にこんな失敗談がありました。

「面接では快活で優秀に見えたAさんを採用した。しかし入社後、彼は指示待ちの姿勢が強く、自ら考えて動くことが苦手だと判明。当社の自律性を重んじるカルチャーに馴染めず、半年で退職してしまった…。」

これは、候補者の表面的な印象だけで判断してしまった結果起こる典型的なミスマッチです。戦略的な質問は、こうした「感覚採用」のワナから抜け出し、客観的な事実に基づいて判断するための羅針盤となります。

顧客理解と同じくらい重要な「候補者理解」

WEBマーケティングでは、商品やサービスを売る前に、まず顧客が誰で、どんな課題を抱え、何を求めているのかを徹底的に理解することから始めます。これを「顧客理解」と呼びます。

採用も全く同じです。候補者が本当に何を考え、何を大切にし、どんな環境で輝けるのかを深く理解する「候補者理解」が、採用成功の鍵を握っています。

顧客ペルソナを作るように、候補者の人物像を深く掘り下げていくイメージです。戦略的な質問は、そのための強力なツールなのです。

スキル・経験の「再現性」を見抜く戦略的質問3選

まず、候補者が持つスキルや経験が、自社でも本当に通用するのか、その「再現性」を見極める質問から見ていきましょう。

質問1:「過去の仕事で最も成果を上げた経験について、その時の『課題』『あなたの役割』『具体的な行動』『結果』を教えてください」

これは、STARメソッドと呼ばれるフレームワークに基づいた質問です。

項目内容
Situationどのような状況・環境でしたか?
Taskどのような課題・目標がありましたか?
Actionそれに対して、あなた自身がどう行動しましたか?
Resultその結果、どうなりましたか?(数値で)

【質問の意図と評価ポイント】
単なる成功体験を聞くのではありません。「なぜその成功が生まれたのか」というプロセスを具体的に聞くことで、そのスキルに再現性があるか、自社でも同じように活躍できるポテンシャルがあるかを見極めます。

弊社のWEBマーケティング支援でも、成功事例の背景にある「具体的なプロセス」を分析することが最も重要です。どんなに素晴らしい結果が出ていても、それが偶然の産物であれば意味がありません。採用も同じで、成功のプロセスを自分の言葉で語れるかどうかが、本物の実力を見抜く鍵となります。

質問2:「もし今、弊社の〇〇(具体的な事業やサービス)のマーケティング担当になったとしたら、まず何から始めますか?」

これは、実際の業務を想定したケーススタディ質問です。

【質問の意図と評価ポイント】
この一つの質問で、候補者の「思考力」「課題設定能力」「自社への理解度」を一度に測ることができます。完璧な答えは求めていません。

大切なのは、どのように情報を集め、仮説を立て、考えを組み立てるかという「思考のプロセス」です。事前に弊社のことをどれだけ調べてくれているか、その熱意も伝わってきます。

新しいクライアントの支援を始める時、我々が最初に行うのは現状分析です。候補者が「まずは競合を調査します」「現状のアクセスデータを分析します」といった具体的なアクションを提示できるかを見ています。これは、未知の課題に対して、自分で考えて一歩目を踏み出せるかどうかを試す質問です。

質問3:「これまでで最も困難だった仕事の経験と、それをどう乗り越えたか教えてください」

ストレス耐性や課題解決能力を見るための定番の質問ですが、聞き方が重要です。

【質問の意図と評価ポイント】
重要なのは、困難な状況で他責にせず、主体的に行動できたかという点です。「上司が悪かった」「環境が整っていなかった」といった発言が出る場合は注意が必要です。

困難の原因を自分事として捉え、解決のためにどんな工夫や行動をしたのか、具体的なエピソードを引き出しましょう。

経営者として14年間、本当に数々の困難がありました。順風満帆な時だけ活躍できる人材よりも、逆境の時にこそ踏ん張れる人材の方が、中小企業にとっては遥かに貴重です。この質問からは、候補者の人間としての強さや誠実さが垣間見えます。

価値観・カルチャーフィットを確かめる戦略的質問4選

スキルが高くても、会社の文化や価値観に合わなければ、お互いにとって不幸な結果になります。ここでは、自社との相性を見極める質問をご紹介します。

質問4:「仕事において、あなたが『これだけは譲れない』と大切にしている価値観は何ですか?」

候補者の仕事観の根幹を探る、非常に重要な質問です。

【質問の意図と評価ポイント】
この回答と、自社の企業理念や行動指針が一致しているかを確認します。「成長」なのか「安定」なのか、「チームワーク」なのか「個人の成果」なのか。候補者が大切にする価値観と、会社が提供できる環境がずれていないかを見極めましょう。

例えば弊社では「実直に。誠実に。」というモットーと、「クライアントの自走化支援」という価値観を大切にしています。もし候補者が「とにかく自分が目立ちたい」「短期的な売上だけが大事」という価値観の方であれば、残念ながら弊社とは合いません。価値観の共有は、長期的な関係を築くための土台です。

質問5:「どのような組織(チーム)で働いている時に、最もパフォーマンスが発揮できると感じますか?」

候補者が好む働き方やチーム環境を知るための質問です。

【質問の意図と評価ポイント】
「トップダウンで指示が明確な環境」を好むのか、「裁量権が大きく、自律的に動ける環境」を好むのか。どちらが良い悪いではなく、自社の組織風土との相性を見極めることが目的です。

特に私たちのような関西の企業は、ウェットな人間関係やチームワークを重視する傾向があります。候補者がドライな人間関係を好むタイプであれば、入社後に孤立してしまうかもしれません。候補者が最も輝ける場所を提供できるか、という視点でこの質問を投げかけてみましょう。

質問6:「私(面接官)以外に、これまで一緒に働いた上司や同僚から、あなたはどんな人だと言われることが多いですか?」

自己評価だけでなく、他者からの客観的な評価を聞くことで、候補者の人柄を多角的に理解する質問です。

【質問の意図と評価ポイント】
「真面目だと言われます」「ムードメーカーだと言われます」といった回答に加えて、「なぜそう言われるのだと思いますか?」と深掘りすることで、候補者の自己分析能力や客観性を見ることができます。

これは、WEBマーケティングにおける「顧客アンケート」や「レビュー分析」に似ていますね。自分たちが思っている強みと、顧客が感じている価値が違うことはよくあります。自分を客観視できているか、他者からのフィードバックを素直に受け入れられるかは、成長のために不可欠な素養です。

質問7:「もし、仕事で理不尽だと感じることや、意見の対立があった場合、あなたはどのように対処しますか?」

協調性や対人関係の構築能力、ストレス対処法を見るための質問です。

【質問の意図と評価ポイント】
感情的にならず、建設的な解決策を探せる人材かを見極めます。「まず相手の意見を傾聴します」「事実と感情を切り分けて考えます」といった回答からは、成熟した対人スキルがうかがえます。

中小企業は、社長から新入社員まで、人と人との距離が近いからこそ、チームワークが業績を大きく左右します。意見の対立は必ず起こるものです。大切なのは、その対立を乗り越え、より良い関係を築き、組織の力に変えていけるかどうかです。そのポテンシャルをこの質問で見極めましょう。

ポテンシャル・成長意欲を測る戦略的質問3選

完成された人材だけでなく、これから会社と共に成長してくれる「ポテンシャル」を持った人材を見極めることも、中小企業にとっては重要です。

質問8:「この1年間で、ご自身の成長のために新しく学んだことや挑戦したことは何ですか?」

候補者の学習意欲や主体性を確認する質問です。

【質問の意図と評価ポイント】
仕事に関することでも、プライベートなことでも構いません。重要なのは、現状に満足せず、自らアンテナを張って学び続けているかという姿勢です。具体的な行動とその結果まで語れると、より評価は高くなります。

WEBマーケティングの世界は、まさに日進月歩です。昨日までの常識が今日にはもう通用しない、なんてことは日常茶飯事。変化の激しい時代において、自ら学び続ける意欲は、もはや生命線と言っても過言ではありません。

質問9:「ご自身のキャリアについて、5年後、10年後にどのような姿になっていたいですか?」

候補者のキャリアプランと、自社が提供できるキャリアパスが一致しているかを確認する質問です。

【質問の意図と評価ポイント】
ここで重要なのは、会社の成長と自身の成長を重ね合わせて考えられているかという点です。「専門性を高めて、会社の〇〇事業に貢献したい」といったように、自社で働く未来を具体的にイメージできているかを確認しましょう。

経営者として少しシビアな見方をすると、この質問で「会社を踏み台としか考えていないのか、それとも家族のように一緒に成長していきたいと思ってくれているのか」その本気度がわかります。候補者の夢を応援し、その実現の場を会社が提供できるか、そのすり合わせをするための大切な質問です。

質問10:「最後に、何か我々に質問はありますか?」

面接の最後に行われる「逆質問」ですが、これは候補者を見極める絶好の機会です。

【質問の意図と評価ポイント】
逆質問の内容は、候補者の興味関心や入社意欲を如実に表します。

  • 良い逆質問の例: 事業の課題、今後の展望、入社後の具体的な役割、活躍している社員の特徴など、企業の未来や貢献意欲に関する質問。
  • あまり良くない逆質問の例: 調べればわかる会社概要、給与や休暇など待遇面のみの質問、「特にありません」という回答。

逆質問は、候補者が弊社のどこに興味を持っているのか、その「検索意図」がわかる面白いプロセスです。顧客がどんなキーワードで検索してくるかでそのニーズがわかるように、候補者がどんな質問をしてくるかで、その人が何を重要視しているのかが見えてきます。最後の最後まで、気を抜かずに候補者の声に耳を傾けましょう。

よくある質問(FAQ)

Q: Web面接で候補者の本質を見抜くには、どんな点に注意すれば良いですか?

A: 対面よりも表情や雰囲気が伝わりにくい分、意識的に相槌を大きくしたり、少しオーバーリアクション気味に話したりして、話しやすい雰囲気を作ることが重要です。

また、通信環境のトラブルも想定し、時間には余裕を持ちましょう。背景やカメラ映りなど、候補者の準備度合いから仕事への姿勢を垣間見ることもできます。

Q: 候補者が嘘をついていたり、話を盛っていたりするのを見抜く方法はありますか?

A: 1つのエピソードに対して「なぜ?」「具体的には?」と5回ほど深掘りしていく「5回のなぜ」という手法が有効です。作り話の場合、具体的な状況や感情、行動について一貫性のある回答を続けるのは困難です。矛盾点がないかを確認することで、話の信憑性を確かめることができます。

Q: 圧迫面接は効果がありますか?

A: 結論から言うと、全く効果がありませんし、企業の評判を落とすリスクしかありません。候補者のストレス耐性を見たいのであれば、圧力をかけるのではなく、本記事の質問3のような「困難だった経験」に関する質問で、過去の事実に基づいてどのように乗り越えたかを確認する方がはるかに効果的です。

Q: 面接官によって評価がバラバラになってしまうのを防ぐにはどうすればいいですか?

A: 事前に「求める人物像」を明確にし、評価項目と基準を具体的に定めた「面接評価シート」を準備することが不可欠です。「コミュニケーション能力」といった曖昧な言葉ではなく、「相手の話を要約し、自分の意見を論理的に伝えられるか」のように、具体的な行動レベルで基準を統一しましょう。

Q: 良い候補者が見つかった場合、面接中に口説いても良いのでしょうか?

A: むしろ積極的に口説くべきです。面接は「見極めの場」であると同時に「魅力づけの場」でもあります。良い候補者だと感じたら、「あなたの〇〇という経験は、まさに弊社で活かせますね」「ぜひ一緒に働きたいです」といった言葉を伝え、入社意欲を高めることが、採用成功の鍵となります。

まとめ

戦略的質問は、候補者の本質を見抜くための強力なツールですが、最も大切なのは「候補者を一人の人間として深く理解しよう」とする姿勢です。

今回ご紹介した10の質問は、あくまで対話のきっかけに過ぎません。その答えに対してさらに「なぜそう思うのですか?」「具体的にはどういうことですか?」と深掘りし、会話をキャッチボールすることで、候補者の本当の姿が見えてきます。

これは、顧客と対話を重ね、信頼関係を築き、長期的なファンになってもらうプロセスと非常によく似ています。

次の面接から、ぜひ1つでも試してみてください。そして、採用に関するお悩みがあれば、同じ中小企業の経営者として、いつでもご相談に乗ります。特に、阪神間を中心とした関西の企業様であれば、より地域に根差した具体的なアドバイスも可能です。


採用のミスマッチを防ぎ、自社と共に成長してくれる人材を獲得するための「採用の仕組み化」に課題をお持ちの関西の経営者様へ。

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新原秀崇 監修者:新原秀崇

株式会社SELF ACHIEVE 代表取締役CEO。2011年の創業以来14年間、神戸を拠点にWEBマーケティング会社を経営。中小企業の顧客獲得支援で培ったSNS集客ノウハウを採用分野に応用し、関西企業の採用課題解決を専門とする。「採用の仕組み化」「採用の資産化」をコンセプトに、持続可能な採用戦略の構築を支援している。

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