今週の実際にあったお悩みごと

「AI検索対策のために、コラムは毎月何本作ればよいのでしょうか」
記事制作を続ける企業にとって、本数は気になるところです。しかし、執筆する側の予定だけで本数を決めると、専門家による経験の追記や内容確認が追いつかなくなることがあります。
私たちは、読者が必要とするテーマと、専門家の経験を入れて確認まで行える制作体制を踏まえて、記事数を決めることが大切だと考えています。
セルフアチーブでは、各サービスメニューごとに週1回の定例ミーティングを行っています。今回のAI検索対策の定例会では、記事数と確認負担を見直し、専門家の経験を記事に反映する制作プロセスについて議論しました。
この記事では、その議論と私たちがクライアントと実際に行っている共同制作の進め方から、自社に合うコラム運用を考えます。
今週の議論|記事を増やすと、確認する仕事も増える
定例会で話題になったのは、記事本数を維持することと、クライアント側の確認負担のバランスでした。作成する記事が増えれば、専門家が内容を確かめ、経験を補い、修正する時間も必要になります。
そこで、制作本数を見直し、1記事あたりの質や価値を高める方向について意見を交わしました。新しい記事を作るだけでなく、既存ページの不足を補うことも議論しています。
ここでお伝えしたいのは、本数を減らしたらAI検索の成果が上がった、という結果ではありません。今回の議論による検索表示や問い合わせの変化を示す検証結果は、まだありません。
記事が完成するまでに、誰が何をする必要があるのか。その工程を含めて制作量を決めよう、という話です。
AI検索対策の記事数を決める前に考えたいこと
「月に何本」だけでは記事の役割は決まらない
新しい記事を作るべきかどうかは、まだ答えられていない読者の疑問があるか、既存ページで十分に説明できているかによって変わります。
同じ疑問に答える記事を何本も追加するより、説明が足りないサービスページに情報を補う方が、読者の判断を助ける場合もあります。一方、独立して詳しく答えるべき悩みがあるなら、新規コラムとして扱う意味があります。
これは私たちの運用上の考え方です。公開本数そのものを、AIに紹介されるための条件として扱うべきではありません。
GoogleのAI検索でも、SEOの基本は引き続き重要
Googleは、AIによる概要やAIモードについて、SEOの基本的な取り組みが引き続き有効であり、表示のための特別な追加要件はないと説明しています。Google検索セントラル「AI機能とウェブサイト」
したがって、AI検索向けの記事を別枠で量産する前に、読者の疑問に答えているか、情報を信頼できるか、サイト内で必要なページに進めるかを確認します。
このGoogleの説明を、そのまますべての生成AIサービスに当てはめることはできません。また、経験を入れれば必ず引用されるという保証でもありません。
知識の説明から、経験に基づく「知恵」へ
私たちは、クライアントと一緒に書く記事には、必ず先方のエクスペリエンス、つまり実体験を入れるようにしています。
用語や一般的な方法の説明は、読者が理解するために必要です。ただ、それだけでは他の記事と似た内容になりやすい。どのような背景があり、何を見て判断し、その経験から何を学んだのかまで伝えたいと考えています。
知識の説明だけで終わらせず、背景と判断理由を伴う「知恵」にする。それが、専門家と共同で記事を作る意味です。
例えば「事前の確認が大切です」という説明だけでは、読者は何を確認すればよいか分かりません。そこで、専門家が実際に確認した条件や、通常と違う判断をした理由を加えられないか考えます。
成功した話だけでなく、うまくいかなかった経験や、同じ方法を使わない方がよい条件も、読者の判断材料になります。経験の中にある条件を伝えることで、自分の場合に応用できるかを考えやすくなるからです。
Googleもコンテンツを自己評価する観点として、独自の情報や分析、実体験、専門性、明確な情報源などを挙げています。ただし、個人の経験だけで一般的な事実を証明できるわけではありません。経験談と、公的資料などで確認する説明は、役割を分けて扱います。Google検索セントラル「有用で信頼性の高いコンテンツの作成」
経験を聞くだけでは、具体的な話が出てこないこともある
専門家に「あなたならではの経験を教えてください」とお願いしても、すぐに記事に使える話が返ってくるとは限りません。
私たちの共同制作でも、質問だけで先方から経験を掘り下げてもらうのは難しいことがあります。そこで、こちらが先に文章を整え、「ここにあなたのエクスペリエンスを入れてください」と、追記する場所を示す流れにしています。
書こうとしている記事の文脈が見えれば、どのテーマに関する経験を求められているかが伝わりやすくなります。先方から追記をいただいた後、その内容を私たちが構成し直します。
制作側が用意するのは、経験を書き足す場所と文脈です。経験そのものは、実際に対応した専門家から受け取ります。
たたき台は、結論に合う経験を言わせるためのものではありません。実体験が最初の説明と合わなければ、説明の方を見直します。該当する経験がなければ、無理に埋める必要もありません。
専門家の経験を生かすコラム制作の5ステップ
以下は、新原が説明した「文章を先に整える・追記場所を示す・経験を受け取る・再構成する」という流れに、公開前の専門家確認を含めて整理した手順です。
1. 読者の悩みに合わせて、たたき台を整える
まず、誰がどのような疑問を持って読む記事かを決め、見出しと説明の流れを作ります。必要な基礎情報は調べますが、まだ聞いていない経験や成果は書きません。
「何についての経験が必要か」が分かる程度まで文章を整えることがポイントです。制作全体の基本は、SEO記事の書き方でも紹介しています。
2. 経験を追記してほしい箇所を示す
たたき台の中で、専門家の判断が加わると読者の理解が深まる場所に、依頼を書きます。記事の全段落に経験を入れる必要はありません。
次は、追記を依頼するときの編集用記入例です。実在のクライアントへの依頼文や回答を転載したものではありません。
【この段落に、ご自身の経験を追記してください】
この説明に関係する実際の対応があれば、当時の状況、確認したこと、その判断をした理由、その後に分かったことを教えてください。
説明と異なる経験や失敗例も歓迎です。該当例がない場合や、公開できない場合は、その旨をお知らせください。
依頼箇所が具体的なら、先方は記事全体を一から書く必要がありません。文脈に沿って、自分が対応した内容を補えます。

3. 専門家に経験と判断理由を追記してもらう
受け取りたいのは、立派な文章より、実際に何があったかという情報です。箇条書きでも、その後の編集に使えます。
その際、数値や発言が確認できるか、社名や相手の情報を公開できるかも確かめます。不明な箇所は不明なまま区別し、記憶が曖昧な内容を確定した実績として扱わないことが大切です。
4. 読者に伝わる順番へ再構成する
追記された経験を、そのまま末尾に足すだけでは、記事の説明とつながらない場合があります。制作側で、背景、判断、対応、結果や学びの順に整理します。
ただし、編集の都合で因果関係を付け足したり、限定的な経験を「誰でも同じ結果になる方法」に変えたりはしません。基礎説明を補強する経験なのか、例外を示す経験なのかを見極めて配置します。
5. 専門家が最終確認する
最後に、編集後の文章が本人の経験や意図と合っているか、根拠や公開範囲に問題がないかを確認してもらいます。
AIを文章整理の補助に使う場合も、事実の追加や意味の変化がないかを人が確かめる工程が必要です。確認が終わらないまま、予定本数を満たすために公開する運用は避けます。

無理なく続けられる記事数は、どう決めるか
自社の制作量を決めるときは、次の3点を照らし合わせます。
| 判断軸 | 確認すること |
|---|---|
| 読者に必要な情報 | まだ答えられていない疑問があるか。既存記事と重複していないか |
| 専門家の協力時間 | 経験の追記と編集後の確認に、どの程度の時間を確保できるか |
| 制作・改善の体制 | 調査、執筆、編集に加え、既存ページの修正まで対応できるか |
最初は、1本が完成するまでにどこで時間がかかるかを確認します。先方の追記待ちが多いなら、依頼箇所や説明の仕方を見直す余地があります。編集後の修正が多いなら、意味を変えずに整理できているかを確認します。
こうした状況を踏まえ、公開まで無理なく回せる本数を決めます。一律の本数をこの事例から決めることはできません。
公開予定本数に加え、経験の追記と最終確認まで終えられるかを、制作計画の基準にします。
新規記事と既存ページ改善を一緒に考える
今回の定例会では、記事制作とともに、足りないページや説明を補う話も出ています。
専門家から受け取った情報が、コラムだけでなくサービスの選び方や相談前の不安に答える内容なら、サービスページやFAQにも反映できます。関連するコラムへリンクし、詳しく知りたい人が読み進められるようにします。
公開後には、検索からの流入、読まれたページ、サービスページへの移動、問い合わせ内容などを確認します。これらは今後の評価項目であり、今回の制作フローによる改善実績ではありません。
AIによる紹介の有無を確認する場合も、使ったサービスや質問、確認時点を記録します。一度の表示だけで継続的な効果を判断せず、記事とサイトの改善に使える情報を集めます。
よくある質問
Q. AI検索対策のコラムは、毎月何本必要ですか?
A. 一律には決められません。読者に必要なテーマ、専門家が経験を追記して確認できる時間、既存ページも改善できる体制から、自社に合う本数を決めます。
Q. 専門家が文章を書くのが苦手でも、経験を記事にできますか?
A. できます。制作側がたたき台と追記箇所を用意し、専門家から箇条書きなどで経験を受け取り、読者に伝わる文章へ整える方法があります。編集後は本人に内容を確認してもらいます。
Q. たたき台に合う経験がない場合は、どうすればよいですか?
A. 無理に経験を作らず、該当例がないことを確認します。必要に応じてテーマや説明を見直し、根拠のある一般的な説明と、本人の実体験を区別して掲載します。
Q. 経験談を入れれば、AI検索に引用されますか?
A. 引用は保証できません。経験談は、独自の判断や背景を伝える材料です。内容の正確さ、読者の疑問への回答、サイト全体の情報整理も合わせて確認します。
まとめ|経験を追記しやすい原稿から始める
私たちがクライアントとの共同制作で行っているのは、先に文章を整え、経験を入れてほしい場所を示し、受け取った内容を再構成する流れです。
専門家に何を話してもらうかだけでなく、どのような原稿を渡せば答えやすいかを考える。そこに制作側の役割があります。
まずは次に作る1本で、経験が入ると判断の理由が伝わる箇所を選び、追記依頼を添えてみてください。そのやり取りと確認に必要な時間を見ながら、自社の制作ペースを考えられます。
SELF ACHIEVEでは、Web戦略設計の視点から、読者の悩みと企業の強みを結び付けて制作を考えます。AI検索対策に向けたコラム運用や、専門家の経験を生かす制作体制については、こちらからご相談ください。
執筆:新原 秀崇(株式会社SELF ACHIEVE 代表取締役)
代表取締役
新原 秀崇
大学卒業後、外資系企業やラジオ局で営業・マーケティングを経験。2011年に株式会社セルフアチーブを創業し、神戸を拠点に中小企業のWEB集客支援を開始。累計200社以上の顧客獲得を支援し、コンテンツマーケティング・SEO・WEB広告を専門領域として代表自ら戦略設計に携わる。