「問い合わせが増えたのはうれしい。でも、営業担当者が一つひとつ対応する負担も増えている」
今週は、継続してWeb集客を支援している、大阪の包装関係の会社から寄せられたご相談です。法人・個人の両方から、相談内容や検討段階の異なる問い合わせが入り、限られた営業人数で初期確認に対応していました。
私たちが提案したのは、公式サイト上で商品やサービスについて質問できる、チャットボット等の一次案内の仕組みです。
集客が増えたら、訪問者が自分で確認できる情報と、営業に相談する導線を一緒に設計する必要があります。
今回の取り組みは、2026年9月5日時点で提案後、設計・開発へ進める段階です。チャットボット導入後の成果はまだありません。この記事では、なぜこの提案に至ったのかと、導入前に何を考えるべきかを紹介します。
今週の相談|集客の次に、問い合わせ対応の課題が見えてきた
月1回の定例会で分かった営業現場の負担
この会社では、以前からSEO、AI検索対策、Instagram運用などを通じて集客を支援しています。問い合わせが増えてきた一方、月1回のマーケティング定例会で、営業対応を効率化したいという要望が出ました。
営業担当者は、具体的な商談だけでなく、商品やサービスに関する初歩的な確認にも対応します。検討を始めたばかりの方もいれば、個別の相談が必要な方もいる。その違いを受け止める仕組みが求められていました。
ここでいう初期の問い合わせは、取引額の小さい案件という意味ではありません。最初の質問だけでは、将来どのような取引になるかは判断できないからです。
情報を載せることと、疑問を解決できることは違う
公式サイトには、すでに商品・サービス情報を掲載しています。それでも問い合わせがあるのは、情報が足りないだけでなく、必要な説明を見つけづらかったり、自分の場合に当てはまるのか判断できなかったりする可能性があるためです。
私たちの観察では、特定領域でAI検索から紹介される場面も増えています。ただし、検索結果で会社を知った時点で、個々の仕様や疑問まで解決しているとは限りません。
公式サイトを訪れた人が、電話やフォームへ進む前に確認できる接点をつくれないか。集客支援の延長で、こうした接客の課題を考えました。
ホームページを訪問後の接客まで含めて考える視点は、ホームページで集客できない原因と改善の考え方でも解説しています。
電話・フォームの前に、質問できる接点をつくる
チャットボットは、Webサイトなどで質問を受け、会話形式で案内する仕組みです。決められた選択肢や回答を使う方式もあれば、生成AIを使う方式もあります。今回、具体的な回答方式はこれから決めます。
提案の狙いは、訪問者が疑問を言葉にし、確認できる情報へたどり着きやすくすることです。
設計例として、次の流れを考えられます。これは本案件で確定した仕様ではありません。
1. 訪問者が商品やサービスについて質問する。
2. 公開済みの情報で答えられる質問は、根拠となるページと一緒に案内する。
3. 個別判断が必要な相談や、答えを確認できない質問は営業へつなぐ。
4. 寄せられた質問を振り返り、説明や案内導線を改善する。
問い合わせ対応の効率化では、自己解決を助けることと、必要な相談を人につなぐことを両立させます。
チャットを使わず、最初から人に相談したい訪問者もいます。電話やフォームの入口も見つけやすくしておくことが、設計上の確認項目です。

画像キャプション:導入前の構想図。回答範囲・有人引継ぎ・記録方法は今後設計します。
チャットボットに期待する3つの役割
1. 営業が個別相談に使える時間をつくる
Webで確認できる質問を一次案内で受け止められれば、営業は個別の判断が必要な相談に時間を使いやすくなると考えています。
ただし、自動回答を増やせば必ず負担が減るとは限りません。案内が分かりにくければ、同じ質問が電話で再び届く可能性もあります。回答の訂正が増えれば、かえって現場の仕事を増やします。
だからこそ、何を回答し、何を営業に引き継ぐかを、現場の対応内容に合わせて決める必要があります。
2. 質問から、顧客の迷いを理解する
人に直接聞く前に、チャットなら尋ねてみようと思う訪問者がいるのではないか。これも、今回立てた仮説の一つです。
質問には、購入を後押しする条件や、判断を妨げる不安を知る手がかりが含まれる可能性があります。マーケティングでは、前者をトリガー、後者をバリアと呼ぶことがあります。
ただし、質問の記録だけで顧客の本音や市場全体が分かるわけではありません。発言として確認できることと、私たちの解釈を分け、営業担当者の話やサイト上の行動と合わせて判断します。記録を残す範囲や方法も、これから設計する事項です。
3. 分かりにくい商品説明や導線を改善する
同じ質問が繰り返されるなら、公式サイトに説明がないのかもしれません。説明があっても、見出しが分かりにくい、関連ページへのリンクが見つからない、といった原因も考えられます。
そこで、集まった質問を使ってFAQや商品説明、ページ間の案内を見直します。
質問に一回答えて終わるのではなく、次の訪問者が迷わず判断できるサイトへ改善する。その学びを会社に残すことまでが設計です。
営業の負担軽減、顧客理解、サイト改善を一つの流れにすることが、今回の提案の要点です。

画像キャプション:導入前に期待する3つの役割。効果は導入後に検証します。
「システムは設計がすべて」と考える理由
商品・顧客・営業の実情を知っているか
私が今回も重視しているのは、「システムは設計がすべて」という考え方です。誰の質問に何で答え、どこから人が対応し、どのような知見を残すか。そこを決めてこそ、現場で使える仕組みになります。
今回の会社とは、継続した集客支援と定例会を通じて、商品・サービスや強み、営業現場の課題を共有してきました。サイト保守も担当しています。そのため、集客から訪問後の案内、営業への引継ぎ、サイト修正までつなげて考えられます。
この理解があるからといって、仕様が自動的に決まるわけではありません。現場が答えている質問を確認し、情報を整理する工程は必要です。
開発の方法と、回答の方法を分けて考える
AIを開発支援に使うことと、訪問者への回答に生成AIを使うことは別の話です。どの回答方式が合うかは、質問の種類、根拠となる商品情報、運用する人の体制から判断します。
現時点で、利用する製品、回答方式、運用費、保守方法は確定していません。導入の手軽さだけでなく、回答内容を誰が確認し、情報変更をどう反映するかまで検討します。
生成AIを回答に使う場合は、提供・利用にあたっての検討資料として、経済産業省が公開するAI事業者ガイドラインも参照できます。本案件の具体的な運用は、こうした資料も踏まえて個別に設計する段階です。
導入前に確認したい4つの項目
次の表は、同じ課題を持つ企業でも使える確認例です。本案件で決定済みの仕様を示すものではありません。
| 確認項目 | 決めておくこと |
|—|—|
| 回答する範囲 | 公開情報で案内できる質問と、個別判断が必要な相談を分ける |
| 人へつなぐ条件 | 回答できない場合や、訪問者が有人対応を希望した場合の案内を決める |
| 回答の根拠 | 参照する商品情報、その更新担当者、変更の反映方法を決める |
| 質問の記録と活用 | 記録する内容・目的・取扱いを整理し、誰が改善へつなげるかを決める |
チャットボットの導入が適切かどうかも、この整理から判断できます。頻出する確認事項が明確なら、FAQの追加やページの案内改善で対応できる部分もあります。
まずは実際の問い合わせを見て、どこに人の対応が必要で、どこをWebで助けられるかを確かめます。
これから何を検証するのか
本案件は、企業向けに設計・開発し、保守を担当している公式サイトへ組み込む予定です。相談時点では、約1か月を目安に開始を目指していますが、確約した公開日ではありません。
問い合わせが増えているのは、従来の集客支援の状況です。まだ導入していないチャットボットの成果として扱うことはできません。
導入後は、例えば次の項目で評価できます。いずれも今後の評価例であり、実測値や合意済みの数値目標ではありません。
- 初期問い合わせへの対応にかかった時間
- 人へ引き継いだ件数と、その相談内容
- 回答できなかった質問や、訂正が必要だった案内
- 必要な相談や商談が維持されているか
- 質問をもとに修正したFAQ、商品説明、案内導線
比較できるよう、開始前の対応状況も確認しておくことが大切です。件数だけでなく、対応時間や相談の内容を合わせて見ます。
問い合わせが減ったかだけでは、良し悪しを判断できません。顧客が疑問を解消でき、必要な相談が営業へ届いているかを確認します。
よくある質問
Q. チャットボットを入れれば、問い合わせ対応の負担は減りますか?
A. 導入だけで負担が減るとは限りません。回答できる範囲、人への引継ぎ、情報更新を設計し、導入前後の対応時間や相談内容を確認する必要があります。
Q. FAQがあるサイトにも、チャットボットは必要ですか?
A. 必須ではありません。FAQや導線の改善で解決できる場合もあります。訪問者が必要な情報を見つけられない理由と、実際の問い合わせ内容から判断します。
Q. 問い合わせへの回答には、生成AIを使うべきですか?
A. 質問の種類や商品情報、運用体制によって判断します。決められた選択肢や回答で案内する方法もあります。本事例の回答方式は未確定です。
Q. この事例では、導入後にどのような成果が出ましたか?
A. 2026年9月5日時点では提案後、設計・開発へ進める段階で、導入後の成果はまだありません。問い合わせの増加は、従来の集客支援についての状況です。
まとめ|集客の先にある接客まで設計する
大阪の包装関係の会社からの今回の相談は、集客が増えたからこそ見えてきた、問い合わせ対応の課題でした。
私たちは、チャットボット等の一次案内に、営業が個別相談に使える時間をつくること、顧客の迷いを理解すること、公式サイトを改善することの3つの役割を期待しています。成果はこれから検証します。
同じ悩みがある場合は、まず営業担当者がどのような質問に、どのくらいの時間を使っているかを確認してみてください。それを整理すると、Webで案内できることと、人が対応するべきことを考えやすくなります。
SELF ACHIEVEのWeb戦略設計では、事業と顧客の状況を確認し、集客施策と訪問後の接客をつなげて考えます。問い合わせが増えた後の対応や、サイトと営業の役割分担にお悩みの場合は、こちらからご相談ください。
執筆:新原 秀崇(株式会社SELF ACHIEVE 代表取締役)
代表取締役
新原 秀崇
大学卒業後、外資系企業やラジオ局で営業・マーケティングを経験。2011年に株式会社セルフアチーブを創業し、神戸を拠点に中小企業のWEB集客支援を開始。累計200社以上の顧客獲得を支援し、コンテンツマーケティング・SEO・WEB広告を専門領域として代表自ら戦略設計に携わる。